橿原考古学研究所との共同研究として, 世良 京太さんが主にこの研究を担当している.

文献史料に乏しい古墳時代の実態を解明する上で, 甲冑といった副葬品の調査は重要である. これまでの研究では甲冑製作において板金による部品製作のための平面的な設計図, いわば「型紙」の使用の可能性が示唆されている. その比較の際に各甲冑の3次元データをほぼ同じ角度にあわせた写真上で比較する手法をとっており, 甲冑の複雑な3次元の形状を考慮しきれないという問題があった.

本研究では甲冑製作における「型紙」の比較をより正確におこなうため, 甲冑の形状を決める重要な部品である後胴押付板の3次元データを平面に展開し比較する方法を提案する. 具体的には3次元レーザー計測で測定された甲冑の部品の3次元点群の任意の点間の測地線距離を求め, 多次元尺度法を用いて2次元データに圧縮し比較を行う. その結果, よく似た形状の甲冑の部品が存在し, 写真上で比較する手法と同様な結果が得られることが確認された.

Reference

  1. 世良 京太, Garcia Ricardez Gustavo Alfonso, 高松 淳, 小笠原 司, 吉村 和昭, 奥山 誠義, 小林 謙一, “古墳時代の甲冑の平面展開による比較”, 人文科学とコンピュータシンポジウム, pp. 309-314, 2018.
  2. 高松 淳, “甲冑研究における三次元データ解析の現状と可能性”, 考古学ジャーナル, Vol. 771, pp. 10-13, 2022.

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